池田大介 / 弁護士 / 東雲総合法律事務所

神奈川県藤沢市出身。鎌倉高校卒業後、中央大学法学部へ進学・卒業。法政大学大学院法務研究科を卒業し、弁護士として活動を開始。法人案件・個人案件、業界・領域を絞らず 多種多様な案件を担当している。TBSドラマ「下町ロケット」の弁護士監修や日本テレビ「news zero」への出演経験も有る。インドネシアでのボランティア活動や学校での講演など、弁護士業を越えて幅広く活動している。プロフィール詳細
東雲総合法律事務所:https://i-legal.jp/


高校時代は野球漬けの日々を過ごし、読書とは無縁だったとのことですが、大学に入ってから、数多くの本を読むようになったそうです。弁護士という職業柄なのか、もともとの気質なのか、物事を異なる立場から見えている人はカッコいいと仰る池田さんからお話を伺いました。


当時の状況を教えていただけますか?

中央大学の法学部に入学したばかりの頃だったと思います。当時、ロースクールが出来るということで「7割は合格するから大学時代は法律の勉強以外のことをした方が良い」という話を聞いて、時間もあるし、本でも読むか!と思って色んな本を読みました。

当時は、スマホもないですし、遊ぶお金もたいしてなかったので、安く本を購入できる生協に何度もお世話になりましたね。

最初は、どう本を読めばよいかわからなかったので、

「ぼくはこんな本を読んできた ―立花式読書論、読書術、書斎論」 立花隆著

で読書方法を学びました。


全てのことには良し悪しがありますよね。私は、大学生当時も今も、何かを盲信したり、偏った考え方をしたくないと考えています。

これまで出会った魅力的な方々の多くは、幅広く見識を持っていて、偏っている人はあまりいなかったんですよね。極端な意見を持っているように見える人でも、両方の知識を知った上で、自分の立場を明確にしているんです。自分はそれをカッコいいなぁと思ってました。

全てを自分で体験することは出来ません。でも、本を読めば疑似体験が出来ます 例えば、イスラム教だったら、どう考えるのだろう。キリスト教だったら?ユダヤ教だったら? それぞれの教徒にはなれなくても、疑似体験くらいは出来ますよね。

そうやって読書での疑似体験を積み重ねていた学生の時に出会った本なんです。


どんな影響があったのでしょうか?

ほとんど怒らなくなりました。
この本を読むまでの自分は、非常に怒りっぽい人間でした。激しく怒ってましたね。笑

高校時代の野球の試合で、明らかな審判のミスジャッジに、激昂したことがありました。感情を爆発させて、怒ってしまう自分をどうにかしないとなぁ。と思っていましたが、特に対処せずにいました。

この本の中で出会った言葉にハッとさせれました。

なんという言葉だったのですか?

『忍激の二字はこれ禍福の関なり』(呻吟語)

じっと心を落ち着かせるか、一時の感情にまかせて激高するかは、幸せと禍の分かれ目である。という意味の言葉です。

これは今も私の座右の銘となっています。

「考え方は古典から。知識は新書から。」という意識で本を読んでいます。中国の古典には、示唆に富んだ多くの名言が含まれています。古典に含まれる名言を含めて、古くから残っているものには理由があり、時代に淘汰されなかったものには価値があることが多いと考えています。

その書籍のタイトルを教えていただけますか?

『中国古典の言行録』

です。歴史のある中国の言葉の深さを感じることができますね。

どんな方にオススメでしょうか?

本当は全ての人に読んでほしい本ですが、特に、学生や若い社会人に読んでほしいですね。若い時に、いい言葉やいいエピソードに出会っていれば、自分が苦しい時や失敗したと感じた時に、気付きや学びを得られると思います。

このインタビューの前に読み直しましたが、やはりいい言葉が沢山載っていました。読む時期が変われば、響く言葉も変わってきますので、一度、読んだことある方も再読をオススメします。

インタビューを終えて

中国古典というと、とっつきにくい印象がありましたが、実際に読んでみると非常にわかりやすく解説してあり、非常に読みやすい書籍でした。私は個人的に文章軌範の范仲淹の『天下の憂いに先だちて憂い 天下の楽しみに後れて楽しむ』という言葉に感銘を受けました。池田さんが仰ったように、いい言葉と出会えると自分の人としての幅が広がる気がしますね。

<インタビュー・文責:中野修二(@shu2Nac)>


<書籍紹介>

中国古典の言行録

  • 著者名:宮城谷昌光
  • 出版社名:文春文庫
  • 定価:本体600円+税
  • 発行年月:1996年10月10日
  • 頁数:240ページ
  • ISBN:978-4-16-725908-2

中国の歴史と文化に造詣の深い作家が、論語、詩経、孟子、老子、易経、韓非子などから人生の指針となる名言名句を選び抜き、平明な文章で詳細な解説をほどこした教養と実用の書。

<出典>文春文庫